ダンス歴が長くなってくると知っているステップが増えてきます。ステップを知っているからこそリードが十分に伝わらなくても予測し、対応することができます。しかし、それくらいのレベルになると足型やステップ毎の進行方向をきちんと理解しているがゆえに起こる問題があります。


具体的には
・リードがくるより先に動いてしまう
・リードより先に回転してしまう、もしくは余分に回転してしまう
などです。


リードがくるより先に動いてしまう問題は比較的指摘を受けやすいですね。
もうひとつの先に回転してしまう、余分に回転してしまう問題は気づいていない方が非常に多いです。こちらの問題は特にスタンダードの方が多い印象です。


よく踊るステップだとワルツやフォックストロットのウィーブの2歩目。リードするよりも先に回転したり、余分に回転する女性、結構います。ウィーブの前半は女性が外回りで左回転!と知っているからこそ気を利かせて積極的に自分で左に回ろう!男性の向こう側へ回り込もう!と頑張っているのです。その頑張りが悲しいかな逆効果に…。


競技やレッスン、サークルなどパーティー以外の場面では、便宜上ルーティンを決めて踊ることが多いです。しかし社交ダンスは本来はノンシークエンスダンスといって、ステップの順番が決まっていないものです。つまり、社交ダンスの様々なステップは「女性はステップの順番を知らない」という前提で作られているのです。


先程のウィーブの例でいうと、女性はP.P.で1歩目を前進し、2歩目の足を前に準備している時点では次に来るのが何のステップか?どころか右回転のステップなのか左回転のステップなのかすら分からないのです。


「じゃあ、まだどちらに行くか分からないなら2歩目の右足はどうしたらいいの?」と思いますよね。正解は「前進を続ける」です。細かく言うと前進の動作を続けている間に男子からリードが来て上半身が左へ回転します。その回転に伴って真っすぐ出していた右足の脚の付け根や足の裏を回して3歩目の前進に続けます。


ここで左回転だと知っているからと言って女性が自分で上半身を左に回すと上手くいきません。本来必要なの男性の左回転へのリードのパワーが5だと仮定すると、女性が自分で上半身を回した場合

男性5+女性5=10

となり、回転しすぎてしまいます。なので、男性から十分なリードが来た場合、上半身を回す必要はありません。


タイトルの「上手い女性は知らないフリをする」とは上手い女性は、ステップの回転量や進行方向を知っていても、知らないつもりで前進・後退の動作を続けることができる。ということです。これができると男性にとってはリード次第で臨機応変に回転量を変えることができるので非常に踊りやすいです。


余談ですが、もし男性のリードが必要な5より少なく、2しか来なかったら、上手く入れ替わるため女性のほうで残りの3のパワーを足してあげる必要が出てきます。この辺りが女性の難しいところだと思います。


次のステップを知らないフリをして踊り、リードが足りなかったらさりげなくパワーを足してあげるデキる女になりたいものですね!


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